少子化問題に関する企業の取り組み事例
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不妊治療への費用補助と休暇制度の導入、福利厚生プラットフォーム「carefull」の活用

不妊治療への費用補助と休暇制度の導入、福利厚生プラットフォーム「carefull」の活用

公開日:2025年10月8日 更新日:2025年10月8日

大林組

対象者

社員及びその配偶者

取り組み内容

大林組では、次世代育成・両立支援の施策拡充の一環として、出産・育児に対する支援に加え、不妊治療に対する支援の必要性を認識し、2016年に不妊治療に対する補助金制度を導入しました。以降、従業員が働きながら不妊治療を継続できる制度づくりを進めるとともに、不妊治療に係る不安や悩みを軽減させるプラットフォームも導入しています。

1 <不妊治療費の補助金制度、貸付制度>

月1万円を上限とする実費を大林組共済会(※)から支給し、生殖補助医療に加え、生殖補助医療以外の医師の指導による治療も対象としている。申請時は上司を通さず、本人から共済会に直接申請する。また、100万円を上限として不妊治療費の貸付も行っている。

※会社の役員及び従業員を会員とした、主に会員の福祉の増進を目的とする組織

2 <積立保存休暇制度>

失効年次有給休暇を50日まで積立可能で、残日数の範囲内で不妊治療目的の利用が可能である。利用時は、診断書に代えて、「不妊治療連絡カード」による申請も認めている。

3 <妊活に関する従業員特典>

福利厚生プラットフォーム「carefull」は、各種妊活に関する検査・治療(男女ともに利用可)の割引価格による提供を行っている。 

例)卵子凍結、AMH検査、精子観察キット、男性向け妊活アイテム・サプリなど

取り組みに至った理由・背景

大林組は「人を大切にする企業の実現」という大林組基本理念のもと、多様な人材が個々の能力を最大限に発揮し活躍できる環境づくりの推進と、次代の社会を担う子どもたちが健やかに生まれ、育成される社会を目指し、次世代育成支援対策推進法や女性活躍推進法に基づく行動計画を策定してきました。

育児・介護・治療などが必要になっても、意欲のある社員がキャリアロスなく安心して働き、従業員が個々の能力を最大限に発揮できるよう、さまざまな選択や組み合わせができる柔軟性の高い勤務制度の導入・運用を積極的に推進する中で、取り入れた施策の一つが不妊治療に対する支援です。

取り組みの成果

特に不妊治療費の補助金制度は男女ともに毎年一定数の利用があります。

例えば直近3年間においては、2022年度63名、2023年度66名、2024年度77名が利用しており、各人が一年度中平均5回程度利用しています。

利用者や利用回数はやや増加傾向にあります。

利用者の声

利用者からは「治療に前向きな気持ちで取り組めるとともに、会社への恩返しの気持ちから、より一層仕事に力が入る」「病院で話すと”良い会社”だねと驚かれた」「直接申請できるため、周囲に知られずに制度が利用できて有難い」などの声があがっています。また、社内のワーキンググループが、実際に制度を利用して不妊治療に取り組んだ社員の体験談を、ニュースレターで情報共有しています。

企業担当者の声

治療中の方から仕事との両立に関する相談をうける際は、治療中であることをオープンにしたくない場合もあることを踏まえ、本人の気持ちに寄り添いつつ、丁寧に対応しています。仕事との両立に支障となっていることにつき、独りで悩むことがないよう、様々な角度から検討し、支援策を見つけ、助言しています。そういった取組みが、いずれエンゲージメントにも繋がってくるものと思われます。

今後の展望・課題

不妊治療に係る休業制度を設けている企業があるなか、当社が制度化に踏み切っていなかったのは、今までの各種取組みや、育児・介護・治療との両立しやすい企業風土づくりに継続的に努めることにより、キャリアを中断させずに子を持ちたいという希望もかなえられるという観点からでした。しかしながら、高度な不妊治療への保険適用など社会的支援が進んできたタイミンクでもあり、改めて検討する時期にきていると考え、取り組んでいきます。

その他(補足等)

不妊治療費の補助金制度導入検討時に、一定年齢以上の社員を対象にするべきかどうかを検討しましたが、結果的に年齢制限は設けないこととしました。また、第2子以降の不妊治療も対象としています。

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